少子高齢化が加速する今、高齢者向け施設で働く看護師への需要が高まっています。
高齢者施設といわれても、施設によって差はあるもの。特徴や働き方もさまざまです。
そこで今回は、高齢者向け施設6形態の働き方や特徴を解説します。
それぞれの特徴を知り、ぜひ転職に役立ててください。
公的高齢者施設看護師の働き方や特徴
介護保険施設とも呼ばれ主に要介護の認定を受けた人が対象となる、
公的機関運営の高齢者施設は以下の通りです。
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
- 介護老人保健施設(老健)
- 介護療養型医療施設(介護療養病床)
それぞれの特徴や働き方を解説します。
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
特徴 | 常に介護が必要な方向けで自宅介護が困難である高齢者向けの生活施設 |
医師 | 1名(非常勤可能) |
看護師 | 100人あたり3人 |
かかわり | 看取りまでかかわる |
介護老人福祉施設はまたの名を特別養護老人ホーム(特養)と呼びます。
介護が必要な高齢者の生活施設です。
要支援1・2の方は入所できず原則として要介護3以上の方が入所できます。
一度入所したら終身なのが最大の特徴です。
少ない自己負担金で入所できるため数ヶ月~数年待ちと長く待たなくてはなりません。
介護猟人福祉施設(特養)で看護師の24時間常駐義務はありません。
そのため日中の勤務が中心になります。
ただし夜間のオンコールがあるため、担当頻度については施設に確認しておくと安心です。
高度な医療的処置があまり必要ではないため不安も少ないでしょう。
介護老人保健施設(老健)
特徴 | 要介護高齢者が在宅復帰を目指す施設 |
医師 | 1名(常勤) |
看護師 | 100人あたり9人 |
かかわり | 基本的に看取りはない |
原則3ヵ月で退所する介護老人保健施設(老健)は、入院するまでではありませんが自宅介護のむずかしい要介護の高齢者が、リハビリをしながら在宅復帰を目指す施設です。
在宅復帰を目指すだけありリハビリのサービスは充実。
3ヵ月の利用期間なため回転率がはやく、入所しやすいのが特徴です。
常勤1人の医師がいるため、医療提供があります。看護師は交代制で24時間勤務です。
そのため夜勤もあります。
リハビリが主な目的の施設なため、作業・理学療法士が多いのも特徴です。
基本的には3ヵ月の滞在なはずですが、1年以上入所される方も多いのが現状です。
介護療養型医療施設(介護療養病床)
特徴 | 医療が必要な要介護社向け長期療養施設 |
医師 | 3名(常勤) |
看護師 | 100人あたり17人 |
かかわり | 看取りまでかかわる |
介護療養型医療施設は介護医療病床とも呼ばれ、要介護度の高い寝たきりなどの高齢者を受け入れる施設です。100人あたり医師は3名、看護師は17名と医療体制の充実が特徴です。
ただし介護療養型医療施設は最大でも2024年3月末で完全廃止が決定されています。
廃止された後は介護医療院が受け入れ先とされています。
医療の必要な要介護高齢者が多く入所しているため、処置が大変な場合も多くあります。
病状が比較的安定はしているものの、寝たきりや認知症を発症・麻痺による会話困難な場合があるため、看護業務の他おむつ交換や食事・入浴介護なども含まれます。
民間高齢者施設看護師の働き方や特徴
自立している方から要介護の方まで幅広く、民間が運営している高齢者施設は以下の通りです。
- サービス付き高齢者住宅
- 特定施設入居者生活介護(介護付有料老人ホームなど)
- 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
個人による集合住宅なので治療の場ではないと意識しておくと、とまどうことが少ないでしょう。
サービス付き高齢者住宅(サ高住)
特徴 | 介護サービスは選択制の賃貸集合住宅 |
医師 | |
看護師 | 医師・看護師・准看護師・介護福祉士・社会福祉士などから1名以上常駐 |
かかわり | あまりかかわらない |
サービス付き高齢者住宅は高齢者用の賃貸集合住宅です。
サービスは選択制となり提供事業者ごと契約を締結させます。
看護師が常駐する介護型と訪問看護の一般型があります。
介護サービスよりは日常生活を行うための施設です。
看護師常駐の場合もありますが、基本的に看護師は訪問看護することが多いです。
入居している高齢者が契約していなければ対応できないケースもあります。
健康に関した相談や軽度の医療行為がほとんどです。
特定施設入居者生活介護(介護付有料老人ホームなど)
特徴 | 介護サービスがついた高齢者向け住宅 |
医師 | 施設による |
看護師 | 施設による |
かかわり | 施設によりオンコールや夜勤あり |
入居者の要介護度により介護付・住宅型・健康型の3種類に分類されます。
介護付ならば必要になったときスタッフが介護を行い、住居型ならば外部の介護サービスを、健康型は介護が必要になれば退去になります。
医師の常駐や看護師の夜勤の有無については施設によりますが、最近では夜勤のある施設も増えてきました。
施設によって早番や遅番がある場合も。
介護付有料老人ホームは24時間配置の義務がありません。
施設によってはオンコール対応の場合や日勤のみの場合もあります。
認知症対応型共同生活介護施設(グループホーム)
特徴 | 軽度から中程度の認知症患者用グループホーム |
医師 | 施設による |
看護師 | 訪問看護が中心 |
かかわり | あまりかかわりがない |
認知症の高齢者が自宅での生活が困難な場合利用する施設です。
入居者が共同で、できるだけ家庭環境に近い中生活をします。
認知症の症状緩和や軽減が目的なため、自立が目的です。
訪問看護が中心となるでしょう。
グループホームでは積極的な医療行為ではなく、バイタルチェックや点滴などです。
認知症の高齢者なので意思疎通がむずかしいため健康管理には十分注意が必要です。
介護医療院について
耳慣れない介護医療院。
要介護の高齢者が入居可能な施設はさまざまな種類があります。
実は廃止が決定されている介護療養型医療施設の受け皿として新設されました。
どのような経緯があったのでしょうか。確認していきましょう。
介護療養型医療施設は2024年3月末に完全廃止
介護療養型医療施設は、要介護度の高い寝たきり状態などを受け入れてきた介護施設。
医療法人などが運営し、公的な施設として知られています。
介護療養型医療施設は改正介護保険法により2018年3月末で廃止されることがすでに決定しています。
猶予期間は6年で2024年3月末には最終的に完全廃止されるのです。
介護療養型医療施設の受け皿介護医療院とは
介護医療院とは、2024年3月末に完全廃止される介護療養型医療施設の受け皿となる施設です。
要介護高齢者の長期療養や生活のための施設として位置づけられています。(参考:厚生労働省)
介護医療型医療施設よりもより生活のための施設になります。
介護施設で日常を支える看護師はやりがいがある:まとめ
高齢者施設6形態の働き方や特徴をそれぞれ紹介してきました。
施設によって働き方が違い、施設ごとの高齢者によって接し方もさまざまです。
看護師は意思疎通がむずかしい場合など、とくに注意して健康管理をすることが大切です。
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